飲食店・居抜き物件の家賃交渉術、値引き交渉のポイントとは

家賃交渉にはセオリーがある?!

日頃ご覧いただき、誠にありがとうございます!

飲食店のオンライン不動産「ミセカリ」・店舗開発担当の浅輪です。

飲食事業に携わること20年、不動産事業をはじめて4年、東京はもちろん、千葉・神奈川・埼玉、たまに大阪の居抜き物件を見てきた浅輪がお届けする、他にはない「リアル」な情報です!ぜひ最後までご覧ください。

これまで、居抜き物件の探し方トラブル事例、契約時の注意点などをご紹介して参りましたが、
今回は、みなさんが一番気になるであろうテーマ、
「飲食店の家賃交渉・値引き交渉のポイント」についてお話させていただきます!

居抜き物件の家賃交渉の場に10年以上携わってきた私・浅輪が考える、ポイントになります。

これからお伝えする内容を実践することで、家賃減額・値引き交渉に成功される方も、
それでも交渉に失敗する方もいらっしゃると思います。

それくらい、家賃交渉は簡単ではありません、難しいんです。
実践できるかどうかを判断するためにもぜひ最後までご覧ください!

目次

1.そもそも飲食店の家賃交渉は可能?!

それでは一つ目、「そもそも家賃交渉は可能?!」について紹介。
結論から申し上げますと、家賃交渉は可能です。
これまで家賃交渉に成功した事例を沢山見てきましたし、私自身も家賃交渉を成功させたこともあります。

長い長い蔓延防止策解除後、飲食店の集客や発注状況を業者ネットワークに確認したところ、「8割、9割程度戻った」との声を聞くようになりましたがやはり、まだまだ安心できる状況ではありません。

売上に対する家賃比率が10%以内に抑えることが理想と言われる飲食店経営において、売上が10割に戻らないのであれば、家賃の見直し・交渉が必要になってきます。

しかし入居後の交渉は至難の技、みなさんが売値1,000円の商品をお客様に値挽いて800円で販売する交渉を受けるようなもの、もちろん利益を削って提供することができれば販売できますが、家賃となると毎月にかかわってくるので簡単に値引きはできません。

できれば入居前に理想の条件に近づけておきたいですよね。

2.交渉前に知っておくべきこと。家主にとっての賃料、保証金、償却とは。

しかし闇雲に「値下げ」を依頼しても関係が悪化するだけ、そこで2番目のポイント、
「交渉前に知っておくべきこと。家主にとっての賃料、保証金、償却」についてご紹介します。

家主と大家の違い

そもそも家主とは、物件所有者=謄本に記載がある人を指します。混同しがちな言葉で「大家」がありますが、大家はその「貸主」にあたり、家主と大家が同じ場合もあれば違う場合もあります。

店舗を借りて飲食店を開業される方も「貸主✖️ 借主○」という言葉で表現できるので少しややこしいですよね、そこで店を借りる方は「店子(たなこ)」とも呼ばれ、 その物件に住む人、借りる人のことを指します。こちらの記事では「店子」で記載していきます。
同義語:借主、テナント、店子
   :貸主、家主、大家 (所有者)

家主にとっての賃料

通常、家賃・賃料は、近隣の相場から算出することもありますが、ビルを立てた時の費用や、維持管理していく上で必要な経費から賃料を設定することがほとんどです。

家主にとって賃料はビルの維持管理に関わってくる大事な費用、ということですね。

家主にとっての保証金とは

保証金は、店子に万一のことが起きて店舗を修繕するための担保として預かります。通常賃料の10ケ月分が相場になっておりますが、物件次第。6ヶ月程度の物件もあれば、数年前までは24ヶ月なんて物件もありました。賃料未払いのリスク、退去時のスケルトン戻しの修繕費用、を貸主側がどこまで想定するかによって変わってきます。では賃料の未払いがなく修繕が全く必要ない場合全額返金されるのかというと、違います。それが次にご説明する「償却」です。

償却とは

敷金、保証金から決まった金額を差し引くという特約のことです。つまり、仮に家賃を滞納しておらず、退去時に修繕が全く必要ない状態だったとしても、敷金や保証金の一部が借主に返ってこないということが契約時点で定められていることです。

借主の立場からすると修繕費が発生しないのであれば敷金を全額返してほしいと考えると思いますが、平成23年の最高裁判決では、敷金償却の特約は「高額すぎない限り有効」という判決が下され、家賃2.5ヶ月~3.5ヶ月分程度までの償却金なら問題ないといわれています。

例えば敷金5,000,000円(償却20%)と表記してある物件では、退去時、精算後の20%分の1,000,000円とさらに課税対象なので合計1,100,000円を引いた3,900,000円が返ってくるということです。

3.交渉ポイントの考え方

賃料、保証金、償却について理解できたところで3つ目のポイント
交渉の考え方をご紹介します。

家賃・賃料相場と比較する

まず一つ目としては、交渉する物件が「近隣物件の家賃・賃料相場と比べて高いか安いか」を確認しましょう。もしも交渉する物件が近隣の家賃・賃料相場と比べて高い場合、先ほどもお伝えした通り、ビルを建てた時の費用の回収なのか、ビルを維持するために必要なケースがあります。

その上で自身の事業計画を持参の上、この物件を取得したい理由、家賃交渉をした先の未来について大家にしっかり伝えましょう。大家側は「信用できる人」に「長く物件を借りて欲しい」ものです。

実際にあった事例では、媒体掲載額の70%の家賃で借りることに成功、さらに開業までの家賃は不要という破格の事例もありました。大家側は利益が得たかったわけじゃなく街のシンボルとなるような飲食店に入ってほしかったそうです。

一方的なお願いではなく大家さんのメリットを考えて交渉しましょう。

家賃交渉では保証金に注目する

そして交渉する上で一番注目すべきは、保証金(敷金)です。保証金・敷金は預け金なので、通常通り店舗運営し、撤退の仕方を間違わなければ戻ってくる、預けたお金です。

そこを最小限にできるか交渉してみましょう。ポイントは、償却を多く設定することです。
仮に賃料30万円で保証金が6ヶ月(180万円)償却1ヶ月分という募集条件に対し、賃料はそのままで、保証金4ヶ月(120万円)償却2ヶ月分として場合、初期費用が60万円削減できました。
(退去時には160万円返ってくるところが、60万円の返還となります)

家主にとってのメリットは会計の処理次第ですが、償却する分は返さなくて良いお金で今使えるお金に変わります。そのメリットを表現できれば賃料も交渉可能になるかもしれません。

ランニングで落とせないなら、イニシャルで落とせれば、条件交渉のひとつと言えると思います。

保証金(敷金)は預け金で契約期間中は借主も貸主も基本的にはさわれないお金なので、その浮いたイニシャル分を店舗作りや運営費に回すことで店舗もより良いもができ、ビルの価値が高まると思います。

(中には、預かった保証金に手をつけてしまい、次のテナントから同額の保証金を預からないと回らないという家主もいました。)

交渉は自分自身の希望を一方的に伝えるのではなく相互理解が重要です。相互理解がないと思わぬ大失敗に繋がる可能性もございます。

4.家賃交渉前提で物件を取得をする落とし穴

そこでポイントの4つ目、家賃交渉前提で物件を取得をする落とし穴についてご紹介、今回、落とし
穴=物件が取得できなくなってしまうことを指します。

家賃交渉しない方がいいケース

例えば、物件交渉権が複数社ある場合=一般的な価値として問い合わせが多い物件は、交渉した時点でテーブルから下されてしまいます。交渉するのはただですが状況によっては行ってしまったが故に交渉のテーブルからも脱落してしまうことがあります。仲介業者と相談の上、交渉するかどうか判断することをおすすめします。

家賃交渉の後だしジャンケンはしない

そしてもう一つ注意すべきことは「交渉の後出しジャンケンは禁止。」交渉したら家主が聞いてくれたから、あとからさらに交渉しようというのはNG行為です、絶対にやめましょう。

家主とはこれから関係が続きます。感情が拗れた状態になると店舗運営にも支障をきたします。交渉は中途半端な気持ちでやってはいけません。

5.家賃交渉はこう伝える!

そこで5つ目のポイント、家賃交渉はこう伝える!条件交渉というよりも、この条件だったらやります、やれます。という条件を申し込み時に出すのがベストです。

交渉条件で運営することで、利益が創出できるんだということが表現できれば、家主も相談に乗ってくれると思います。家主にとって大事な商品であるテナント賃貸をなんの理由もなく交渉してきたらそれは借主からしたら嫌な気分になりますよね。しっかり理由をつけて、交渉(というか、条件提示)をしてください。

6.最後に

以上が、居抜き物件の家賃交渉術、値引き交渉のポイントです。
最後までご購読ありがとうございます。

今回改めて思いますが・・・家賃交渉は本当に難しいですよね。初めて来店したお客様が予約時に値下げ交渉してきたら「?!」てなると思います。相手の立場にたってどのように伝えるのがベストか考えながら交渉を進めましょう!

そうはいっても初めての飲食店開業、物件探しも家賃交渉も未経験の方、よくわからない方はぜひ、飲食経験20年以上ある浅輪にご相談頂ければ幸いです!今日も皆様にとってベストオブベストの物件を紹介できるよう、走り回ります!

飲食店のオンライン不動産「ミセカリ」へのお問い合わせはこちらから
https://www.misekari.com/contact/

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この記事を書いた人

レインズインターナショナル様で加盟店開発の営業を担当した後、同グループ会社であった株式会社テンポリノベーション様の立ち上げに携わりました。様々な店舗開発を経験した後、株式会社KIDS HOLDINGS様に転職し現場も経験しました。その後、東京レストランツファクトリー様で企画開発の他、店長・事業部マネージャーを経験するなど、20年以上飲食業界に携わっております。

株式会社フードコネクション入社後は、飲食店様に自社物件を貸し出す経験をしており「ミセカリ」事業部にも携わっており毎日物件探しをしている、物件探し・飲食店のプロです。

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