マーケティングに使える行動経済学とは何?11種類を事例とともにわかりやすく解説!

飲食店の行動経済学
行動経済学とは何か?をわかりやすく解説!

こんにちは
飲食店の販促大学 by BuzzFood
スタッフのニシホリです。

飲食店の販促大学では、 飲食店で働く方が知っておきたい集客・販促・広告・マーケティングの豆知識をご紹介しています。

今回のテーマは
「集客や売上アップに使える行動経済学」です。

メニューブックや公式ホームページ、SNSやチラシ、ポップなど、飲食店の集客に使う販促物ってたくさんありますよね。でも、どんな風に作ったらいいのかわからないし、作ってもらったものが良いものなのかもよくわからない。そんな方も多いのではないでしょうか?

今回はそんな飲食店さんの販促のヒントになる「心理学」のお話です。デザインやキャッチコピーを考える際にご活用いただければ幸いです。

この記事はこんな飲食店さんにおすすめ
・メニューブックを改善して理想のオーダーに誘導したい!
・SNSのキャッチコピーを変えて集客につなげたい!
・お店の満足度やイメージをアップしたい!

それでは早速いってみましょう!

目次

そもそも行動経済学とは何か?

行動経済学とは?
行動経済学とは?

行動経済学=心理学+経済学

行動経済学とは、心理学と経済学を組み合わせた学問で、お店やネットショッピングなど様々な購買シーンに応用されている心理学です。

人が合理的な判断を元に行動することを前提とした「経済学」に対して、人の直感的で不合理な行動を前提とするのが「行動経済学」。

「よくわからないけど買ってしまった」「ついつい衝動買いしてしまった」など、あなたもご経験があるのではないでしょうか?

実はその購入にも行動心理学の戦略が潜んでいるかもしれません。

ちょっと怖いような、でも使いこなせたら面白そうな気もしますよね。

どんな時に行動経済学は使えるの?

行動経済学は、購買シーンだけでなく、教育や政治など様々な分野に応用できる心理学です。

飲食店の場合であれば、SNS・WEBサイト・看板・店内ポップ・メニューブック ・接客・スタッフ教育などに活用することができ、人の意思決定や行動を理想的な形に命令することなく誘導したいという場面に行動経済学を応用されます。

キャッチコピーやコンテンツ文章、デザインなどに幅広く隠れていますので、今回はその中でも飲食店で使える行動経済学の事例をご紹介します!

「○○学」というと難しそうですが、「ものを買うときのあるある」だと思って読んでみてくださいね。

飲食店の集客や売上アップに使える「行動経済学11選」

飲食店が知っておきたい行動経済学
飲食店が知っておきたい行動経済学

では、行動経済学を飲食店で活用する事例とご紹介していきます。キャッチコピーやメニューの値段の決め方、メニューのラインナップ決め、接客時の声かけ方法など、様々な場面に使えますので、参考にしてみてください。

①先に高い値段を見せると安く見える「アンカリング効果」

先に見たり聞いた情報に影響されて物事の価値などを判断するというのが「アンカリング効果」です。

「こちらの商品は5,000円です」というよりも「定価6,000円のところ5,000円」と言われる方が安く感じるのはこのアンカリング効果が原因です。

そのほかにも、「コース料理が7,000円」と表記されているよりも、「10,000円と7,000円のコースから選べます」と表記されている方が7,000円のコースに割安感を感じさせることができます。

メニューブックやコースメニューで誘導したいメニューがある場合は、そのメニューより高いメニューが先に見えるように紹介することがおすすめです。

②やっぱり普通が安心する「極端性回避の法則」

デートで使うレストランでコース料理を予約する時に

Course Menu
・4,000円
・5,000円
・6,000円

このように記載があった時、ついつい真ん中のコースを予約してしまいませんか?

このように、両極端の選択肢を避けて選択する心理を「極端性回避の法則」といいます。

「安いコースでは恥ずかしいけど、高いコースを頼まなくても、、、」という心理が「真ん中のコースなら安心」という選択に誘導させます。

この心理を応用して、誘導したい価格帯の上下に高いコースと安いコースを用意することで、お店の客単価をコントロールすることができます。

③単位が変わると印象も変わる「フレーミング効果」

「タウリン1000mg配合!」
「レモン100個分のビタミンが取れる!」
「年間1,000個売れる人気のケーキ!」

このようなキャッチコピーを見たことはないでしょうか?

人間は100や1000、10,000など大きな数字が記載されていると、その単位をあまりよく理解せずに「きっと凄いんだ!」と思い込んでしまうことがあります。

これを「フレーミング効果」といいます。

単位を変えてみると現実が見えてくる
タウリン1000mg→1g
レモン100個分のビタミン→ビタミン50g(100g当たり0.05g換算)
年間1,000個→1日2~3個売れるケーキ

単位を変えるだけで、「あれ?そんなに凄そうじゃない、、、」となりませんか?

このように、プッシュしたい商品の実績や成分などの数字の単位を変えることで、インパクトのある数字表現に見せることができます。

ただし、計算すれば誰でもわかることなので、過度な単位変換は不信を招くこともあります。くれぐれもご注意を。

④半端なヤツがお好きでしょ?「端数効果」

「クリスマスセールで1,999円!」といった半端な数字の価格表記をよく見ますよね。

こういったキリの悪い数字が印象的に見えることを「端数効果」といいます。

すでにお店で取り入れているという飲食店さんも多いのではないでしょうか?

2,000円よりも1,999円の方が安く感じて、ついついもう一つ買ってしまったという経験は私にもあります。

桁が繰り上がったりする場面などは特にその効果が大きいですよね。

海外の場合は999円や99円などのケースが多いですが、日本人の場合は縁起のいい数字ということで980円や98円といった末広がりの8を好む独特の感覚があるのも面白いですよね。

また、商品の最後の方の桁を統一することで、価格の複雑さが少なくなり、注文個数が増えるとも言われています。

メニューの価格を決める際には、端数効果を使いながら、最後の方の桁を「580円・980円(80で統一)」や「590円・760円(0で統一)」などと揃えていくことで、値段を気にせずに購入できるようにして注文数・客単価アップを促すこともできます。

⑤選ぶことはストレス「選択回避の法則」

「選択肢は多い方がいい」

そう思っていませんか?

実はこの「選択回避の法則」によれば、人間は選択肢が増えるほどストレスを感じるといわれています。

有名な「ジャムの試食実験」

①24種類のジャムが試食できるお店
②6種類のジャムが試食できるお店

2つのお店で試食人数と購入人数を比較。

この実験の結果は、24種類のお店の方が試食に訪れた人は多かったのですが、購入率は6種類のお店の方が多かった。という結果になりました。

つまり、選択肢が多いほど、選択自体を放棄してしまうということです。

もちろん、集客上商品ラインアップの多さをPRすることは大切ですが、ユーザーの選択フェーズ(実際に何を買うかの意思決定をする場面)では、その選択肢の多さが購入を阻害してしまうということです。

飲食店でもメニューがたくさんあるお店がありますが、それは購入や購入品数を邪魔している可能性もあります。

そんな時は、カテゴリを細かく分けてカテゴリ内の選択肢を減らしたり、「当店No.1」などとキャッチコピーを記載したり、メニューの写真を大きくするなどして、お店からのおすすめ度に強弱をつけていくことをおすすめします。

⑥得より損に敏感「損失回避」

「10,000円得る」よりも「10,000円失う」方がショックが大きい。

この心理を「損失回避の法則」といいます。

同じ10,000円であっても、得る場合と失う場合とでは価値が違うということですね。

よくあるキャッチコピーとして
「今のプランのままだと毎月10,000円損してますよ!」
「スマホを持っているのに、この商品を使わないなんてもったいない!」

こんなセールストークやキャッチコピーを聞いたことあるのではないでしょうか?

「今のままでは自分が損してしまう、、、」

人は損することに敏感な生き物ですので、そこに訴えかけるコピーですね。

ただし、不安を煽るような印象になってしまうと、商品やサービス自体を不安なイメージにしてしまう場合がありますので、過度な煽りは避けて、あくまで損の先にベネフィット(利益)を提案するメッセージがおすすめです。

ちなみに、人間は今までにかけた回収不可能な損失(お金や時間)を取り戻そうと行動をやめられないことを「サンクコスト効果」といいます。ギャンブルや投資において、損失が出ているのに「次はきっと」と希望を捨てられないのは、過去の損失を忘れられないことが起因しています。

⑦気付いたら好きになってる「ザイオンス効果」

毎日見るテレビCMや通勤ルートの看板広告。

実はそのサービスや会社の印象アップにつながっているということをご存知でしょうか?

人の「接触回数の多いものに対して好感を持つ」という性質を「ザイオンス効果(単純接触効果)」といいます。

「毎日、元気よく挨拶しよう」というのは心理学的にも理にかなっているということですね。

テレビのCMは魅力の訴求や消費の促しという利点もありますが、消費者と毎日接点を持つことで、無意識にサービスや商品に対しての好感度を持たせるという役割があります。

通勤ルートにある駅の看板や電車の中吊り広告も同様で、繰り返し見ることで好感を持ち、サービスの認知や理解を深めていく効果があります。

ザイオンス効果を飲食店で応用する場合
・通勤時間はお店の前で掃除しながら挨拶をする
・お水の交換など店内での声かけをこまめにする
・SNSを毎日投稿する
・ユーザーの投稿にイイネを押す

とにかく小さな接点をこまめに定期的に持つことが大切です。

毎日コツコツの積み重ねが大切ということですね。

⑧根拠のない信頼は「ハロー効果」

「医者だから誠実な人に違いない」
「政治家だから頭がいいに違いない」
「美人だから私生活も華麗に違いない」

このようにバイアスで人を評価してしまうことってありませんか?

医者と誠実さ、政治家と頭の良さ、美人の私生活

実はなんの因果関係も根拠もないイメージです。

このように、一つの特徴に影響されて「きっと○○に違いない」と評価してしまうことを「ハロー効果」といいます。

シャンプーのCMに綺麗な女優さんを起用することが多くありますが、その女優さんがそのシャンプーを使っているわけでもなく、使ったからといって女優さんのようになれるわけはありません。笑

憧れや女優さんへの好印象から「きっとこのシャンプーも素晴らしいに違いない」と評価をしてしまうのです。

考えたら当たり前のことではありますが、それに逆らえないのが人間心理ですよね。

何かをPRしたい際には、先に印象付けたい魅力を見せてから説明や紹介に入ると、好意的に受け取ってもらえるという場合がありますので参考までに。

⑨行列店は美味しい?「バンドワゴン効果」

隣り合うラーメン屋さん、片方には行列があり、もう一方のお店には今すぐにでも入店できます。

こんな時、あなたならどっちのお店を選びますか?(急いでいない前提で)

行列があると「このお店はきっと美味しいに違いない」と評価してしまうのが「バンドワゴン効果」。

ただ回転率が悪いだけのお店の可能性もあるのに。。。

「一人だと行動できないけど、みんなが選ぶなら自分も」という心理です。

日本人は特にこの傾向に強いと言われています。

飲食店で活用できる場面としては、「当店人気No.1」というキャッチコピーや「初めての方は、みなさんこちらを選ばれています」という声かけがそれにあたります。

「みんなが選ぶものなら失敗はないはず。」という心理を後押しすることができます。

稀に「人と同じは嫌」という方もいますが、そういう人は表記の有無関わらず意思決定する人なので、自分で決められない優柔不断な人を「選択のストレス」から助けてあげるアクションができるといいですね。

⑩限定品には弱いそれが人間「スノップ効果」

「限定10食」「夏季限定メニュー」といった限定商品に弱いという方も多いのではないでしょうか?

このような希少性に誘導される心理を「スノップ効果」といいます。

私も「今日このお車をご契約いただければ10万円お値引きしますよ!」というセールストークに悩んだことがありますが、「今日を逃したら10万円損してしまう!」「二度どチャンスが来ないかもしれない」という損失回避の心理も合わさって、限定品に手を伸ばしてしまうのです。

また、バンドワゴン効果とは逆に「人とは違うものを持ちたい」という心理もこれにあたります。

「世界に10個しかない車」「シリアルナンバー1桁代の腕時計」など、その希少性自体が価値になり需要が生まれたり、価格が高騰するというものが有名です。

バンドワゴン効果とスノップ効果は対をなすように見える行動経済学ですが、その人の興味関心の高いジャンルはスノップ効果が現れ、興味関心が低かったり判断するための知識が少ない場合にはバンドワゴン効果が作用する場合がありますので、相手に合わせてどちらを活用すべきか選択するのがおすすめです。

⑪自分のものは素敵でしょ?「保有効果」

自分の持っているモノに対しての価値を高く見積もってしまう心理を「保有効果」といいます。

子供や愛犬が他よりも可愛く見えたり、長年使っている腕時計に愛着が湧いてくるのはこの心理が影響しています。

フリマサイトで最初に値付けした金額で売れなかったり、買取サービスを利用した際に思ったより高値で買い取ってくれないと感じるのは、自分にとっての商品価値を他の人よりも高く見積もってしまっていることが原因です。

この心理を利用しているのが、サブスクリプションサービスの「最初の1ヶ月はお試し無料」というPRです。無料だからとサービスの利用をしていくうちに、「この生活を手放したくない」という損失に目がいってしまって、なかなか解約する行動が取れないというものです。

その他に、「満足いただけなければ返金いたします!」というPRもこれに該当します。最初は「ダメなら返品すればいいや」と購入したはずなのに、少し使ってみると手放せなくなってしまったり、解約の手続きがめんどくさくなってそのまま使うことにしてしまいますよね。

このように、先に相手に保有させることで、そのモノの価値を高く感じさせる効果を「保有効果」といいます。

行動経済学を利用した仕掛けが「ナッジ」

このように、論理的・合理的に物事を考えているつもりでも直感的・感覚的に行動してしまう人間の不合理な性質に関する学問を「行動経済学」といいます。

また、この行動経済学の考え方を利用して、命令することなく人に意図する行動を取らせたり、取らせないようにする仕掛けをナッジ(nudge)と言います。

ナッジの代表例として有名なのは、コンビニのレジ前にある「足跡」です。
レジにお客さんが適度な距離感を保って並ぶようにする仕掛けですが、誰も「ここに並んでください」とは命令していませんよね。一直線に足跡が並んでいると、そこに沿って無意識に並びたくなってしまう人間の性質を利用した事例です。

このように、行動経済学を利用して、命令することなく人を誘導する仕掛けを「ナッジ」といいます。

行動経済学を活用して集客や顧客満足につなげよう!

行動経済学を集客・販促のヒントにしよう
行動経済学を集客・販促のヒントに!

いかがでしたでしょうか?

本日は「集客や売上アップに使える行動経済学」をご紹介しました。

普段の生活の中にも「あるある」と納得してしまうような仕掛けも多いのではないでしょうか?

こういった行動経済学を知っておけば、集客や販促に活用できるだけでなく、お買い物の際の衝動買いを防ぐことだって可能です。

よかったらお店のSNSやメニューブックで活用してみてくださいね。

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過去の記事に「アンカリング効果・極端性回避・選択回避」を組み合わせたメニューの改善例もご紹介していますので、よかったらそちらもチェックしてみてくださいね。

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それではまた14:30に!

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    この記事を書いた人

    ニシホリ ニシホリ 名古屋の飲食WEBディレクター

    飲食店専門WEBプロモーションの株式会社フードコネクションのディレクター。町の居酒屋さんからミシュラン星付きの名店まで、300を超える飲食店のWEB制作を経験。そのノウハウを活かし調理師専門学校の外部講師も務める。プライベートでは名古屋の美味しいお店を紹介するグルメブロガー。美味しいお酒を探して今日もフラフラと。

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